愛 理~airi~


休暇の度に彼女の元へ駆けつけ、気丈に振る舞う強気な彼女を受け止めた。



時間とともに次第に、彼女の奥底の暗闇へ光が差すように変わったようだ。



日野の“独りじゃない”という言葉が、メアリーの心を優しく溶かしたらしい…。



「――それは俺のセリフ」


「ふふ…」


ソファで向き合いながら笑っていると、またひとつ幸せが舞い降りるようだ・・・




「――ああ、甘いわ…!

なんだコレ。朝から発する空気じゃない」


「い、いや…、人様の家へ上がりこんで…」


「うるさい!アンタもでしょ!」


いきなりバッサリ断ち切るように、背後から届いた大きな声は半狂めいているが。



「――泉、どうやって入ったのよ?」


「亜実ちゃんよ。

ノロけ夫婦は気づかないから、亜実ちゃんにTELしたの!」


「の、惚気って…」


「あら何よ。それのドコが違うわけ?」


流石の小林さんらしい発言には、才女もタジタジで苦笑を浮かべるだけだ。



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