愛 理~airi~


結婚前までの俺の朝食といえば、眠気覚ましのブラックコーヒーくらいで。



こんなにも穏やかに朝を迎えられるのが、いつ以来かさえ分からないほど。



一緒に住み始めて間も無いのに、もうこれが当たり前になっているらしい・・・




「ねぇ、大和は急がないで良いの?

今日って確か、週一回の朝イチミーティングでしょう?」


亜実ちゃんとともに朝食を取っていると、真咲がようやくキッチンから戻って来る。



「そうだけど、真咲の方が始業開始早いだろ?」


週一回の割合で、朝イチに行われるミーティングは営業部全体で行うもの。



確かにソレなりの位置に居る身としては、急がなければならないだろうが。



「やっぱり日本企業だしねぇ。

あ!でも、早く行った方が良いよ」


俺の問い返しに笑いながら、ゆっくりコーヒーを飲んでいる彼女を見ていたい。



…なんて言ってしまえば、仕事命の奥さんに怒られそうだから言わないけど?



「そうだな…、じゃあ準備するよ」


「うん、準備してあるからね」


「サンキュ」


名残惜しくも頷いてから笑えば、柔らかな表情を窺えるだけで心が穏やかになれる。



< 12 / 122 >

この作品をシェア

pagetop