愛 理~airi~
真咲もまた聞かされていなかったのか、ポカンと口を開けて動向を見守っている。
ビクビクしていた宇津木くんは、ようやく押し迫る小林さんに焦点を合わせた。
「す、すきです。大好きです!…怖いけど」
「最後が余計なのよ、バカ!まったくもう――」
そうキツく言ったものの、彼女が心の底から喜んでいる事が垣間見えたから。
押しの弱すぎる宇津木くんには、まさに女王様がピッタリのようだ――…
「…はぁー、ビックリしたわ」
「ハハ、亜実ちゃんはキューピッドだ」
「うんうん、ホント」
何となく甘く変化したか?な状態で、亜実ちゃんとともに出て行った2人。
生まれる愛のカタチが人それぞれあるように、幸せの形もまた違うだろう…。
「あ、そうそう!
実はね、昨日の検診で性別が分かったの」
「え、本当に!?」
忘れていたというように、ペロッと舌を出したあとニッコリ笑った真咲。
「うふふ…、もう私の中で最終候補にしているのは――」
そう言ってペンを持った彼女がサラサラと紙に書き出したのは、ふたつの文字。