愛 理~airi~
だとしても。笑って尋ねて来るのだから、コイツらしいという所かな?
「全く興味ゼロ…、絶賛“2人に夢中”だし」
まだまだ真新しい輝きを放つ、このシンプルな指輪を薬指に填めているだけで。
強がりで脆くもある真咲と、可愛い亜実ちゃんが家族になった実感に満たされる…。
「オイ、どさくさ紛れに惚気んな!
仕方ねぇ、今日は諦めてやるから…そのうち呼べよ?」
「フッ…、そのうちなら考える」
「オマエの“そのうち”はアテになんねぇ」
テンポ良いツッコミを返す日野を見て、俺もまた満足気にニヤッと口角を上げた。
「ハー…、今日もキャバ行き決定じゃん」
「俺は既に、真咲に売約済みだけど」
「本気でベタ惚れじゃん」
「当たり前」
「クック…、ボイスレコーダーにでも録音しときゃ良かった」
「誰に聞かせるんだよ、そんなの録って」
互いの性格を知り得ているからこそ、ホッと息抜き出来る時間でもあるのだ。
「今度奥さんに会う時、聞かせてあげようかと」
「却下――」
「なに、聞かれたら恥ずかしいとか?」
PCを閉じてカバンを手にした俺に対して、面白そうな表情を浮かべているが。
「んな訳ナイだろ?
ただ単に、ソレ以上の言葉を吐いてるから効力無いだけ」
呆れて物が言えないと言った様子の日野を置き去りに、今日も俺は帰宅を急いだ…。
【#四 惚 気★終】