愛 理~airi~
#五 学 習
眠る時はギュッと抱き締めて、目覚めた時に見せてくれる笑顔は恋しさを増す。
何気ない瞬間、それこそ一瞬ですら、愛は色をつけてくれるらしい・・・
「あ――、おはよ…」
何かくすぐったい感触に引きつけられるように、重い瞼を開いてみれば。
「ん…、はよ――」
どうやら俺の髪をイジっていたらしい、右手を宙を彷徨わせる真咲と目が合った。
「じ、時間!…そろそろ起きなきゃ」
そう言って慌てているが、俺が眠っている間にしていた事が後ろめたいのか。
うっすら目の下にクマが出来た顔を歪ませ、腕の中から逃げようとする彼女。
「待った」
「っ、な、なに…?」
宙を泳いでいた華奢な手をキュッと握って、その動きを封じ込めてしまうと。
ビックリした様子で目をバチバチさせる彼女に、ニッコリと笑い掛けた。