愛 理~airi~
ツー、ツー、とヤケに耳元で響く終話音に、ハァ…と小さく溜め息をついてしまう。
宇津木くんを“ただの部下よ”と言うが、展示会での宣戦布告は未だに忘れられない。
アノ鋭い視線のお陰で、真咲のペースに合わせていられないと内心焦ったんだよな…。
動揺するとは大人げない…、そんな自身を嘲笑しながら終話ボタンを押していた――…
「あー、すっげえ楽しみ」
「うるさい」
待望の週末とあってか、今日は続々と定時キッカリに切り上げていく営業部内。
俺と妙にテンションの高い日野もまた、オフィスを出て最寄駅を目指している現在。
「なあ、真咲ちゃんと亜実ちゃん」
「名前で呼ぶな」
「イチイチ噛みつくなって」
「・・・で、真咲が何?」
クダラナイ嫉妬をする俺をニタニタ笑いながら、改札を潜り抜けて行くから。
妙な顔つきの通行人には、日野が頭のキレる人物とは思われていないだろう…。
「だから、手土産はケーキで良いか?」
「ああ、それなら作ってくれたらしいぞ?届いたメールに書いてあったし。
あ、それと真咲の友達も来てくれるって」
「マ・ジ・で!?」
俺の言葉で“美人の友達はぜってぇ美人”と、ガッツポーズを決め出す始末で。
そんな日野を引き連れた俺は、彼女に頼まれたワイン片手に家路へと向かった・・・
【#六 意 欲★終】