愛 理~airi~
#七 面 談
今日は金曜日ともあって、近所にある居酒屋の前を通れば一層賑わい感じさせた。
以前の俺は独り暮らしらしく、この店をはじめとして馴染みの店へ通っていたな…。
「あー、楽しみだなぁ」
「期待以上だぞ?」
自宅マンションまで目前になると、なおさら騒ぎ始めた暑い男に笑って言えば。
「プッ…、サラッと惚気んな」
「確かに、独り身相手に失礼か?」
「オイ、川崎!」
「ハハッ!」
自宅へと近づく度に気分が高揚していくなんて、独身時代には無かったことだ。
真咲の料理の腕前は身内びいきでなく、本当に下手な料理店より美味しいと思う。
そんな彼女は“お母さんが苦手だったから”と、必然的に覚えたと言うのだが。
何となく彼女のセンスと器用さが、プロ級の腕前へとのし上げた気がするけど…?