愛 理~airi~
働かせて貰えるんじゃなくて、真咲のこれまでを無駄にして欲しくは無いし。
誰よりも働く事にプライドを持つ彼女は、今の俺にとって誇りでもあるから。
今まで通りに、思う存分働いてから辞めてくれれば良いと思っているのだが…。
「はぁ…結婚早々、奥さん失格だよ」
俺の胸の中でしなだれる真咲には、やっぱりまだまだ伝わり切らないようだ。
そんな不器用なトコロが可愛いなんて言えば、今度は怒るだけだろうし…?
「昨夜の真咲は…――
俺の中だと、満点以上で“測定不能”なんだけど」
「・・・は?」
「だから。真咲が良すぎて、主婦業を出来なくさせた俺のせい。
真咲はある意味、被害者だろ?」
ブツブツ呟いていた彼女は、朝に似合わない言葉で一瞬にしてフリーズしてしまう。
意地悪いと思いながらも覗き込む俺だが、黙り込んでしまう時は大抵・・・
「…赤くなってる」
「っ、もぉ、朝から言わないでよ…!」
ノーメイクで赤面する真咲は、誰とも比較出来ないほどに美しいのは俺の秘密だ。
「も、やまっ、ん…んっ」
「ほら亜実ちゃん、そろそろ起こすぞ?」
殻に閉じ籠もりがちな感情を窺える度、触れたくなるのは新婚のせいにしておくか…。
#壱 翌朝★終