愛 理~airi~
期待と不安とが入り混じる声色は、余計に俺を駆り立てるだけなんだけどね…?
「嘘じゃないよ。平蔵さんから聴いてたのも本当だし。
実は展示会とか設立記念パーティーで、俺の方は何度か見掛けてたしね?
真咲が頑張って来た姿に失望しない。誰よりも綺麗だ――」
そんな真咲が殊更可愛くて、背中を擦りながら優しく告げたのは真実のみ。
この小さな身体で虚勢を張って、どれほど心が疲れていたか分からないから。
俺としてはもう、心の重石になるようなモノを少しでも排除してやりたいんだ…。
「…そこまでフォローしなくても…」
するとようやく彼女は、腕の中からおずおずと顔を上げて返してくれた。
「“ウソはつかない”って、前に言っただろう?
綺麗だから綺麗、好きだから好き…、どれも本当のコトだよ。
ちなみにひとつ、俺からも質問したいんだけど…」
「な、なに…?」
「その格好で出社しても良いのに、何でわざわざ会社で着替えるんだ?」
「…ふふっ」
どうやら俺の質問が予想外だったらしく、目を丸くさせながらも笑い始めた。