愛 理~airi~


2人の放つ空気には、何か言葉を掛けられるほどの気易さは無いから。



そんな彼女たち守りつつ、ただそっと寄り添うだけがこの場ではベストだと思う。



大切な家族を突然奪われた心情は、どうやっても俺には全てを察してやれないから。



真咲や亜実ちゃんが過去を思って苦しむ時、絶対に一番に助けてやる人でありたい。



いつも明るい2人の姉妹が、ふと見せる悲しい表情が癒えても、ずっと・・・




「やっぱり日曜って、凄い人だねー」


あれから俺が亜実ちゃんを抱っこしながら、辿り着いた都内にある水族館。



真咲が笑っている通りに想像以上の混雑ぶりは、この暑い季節のせいもあるだろう。



「俺は、両手に花だしね?」


「そっ、それはありがと…」


「ハハッ――」


少しずつ進む流れに乗って、亜実ちゃんを片手に抱えながら真咲の手を握れば。



甘い雰囲気に慣れない彼女は、焦りの色を覗かせつつ気恥ずかしそうに笑ってくれた。



年を取るほどに大切な人との距離を、どう縮めるのか分からなくなるらしいが。



経験を重ねた大人だからこそ…正面切ってぶつかれると、俺は実感してるけどね…?



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