愛 理~airi~
そう内心で思う度に、ふと真咲の手握る力をギュッと強めている自分がいる。
先ほどの思いを口にすれば、彼女は“私は強いから大丈夫!”と言い張るだろうし。
言葉では癒えない部分こそ、俺や亜実ちゃんの存在に安心して欲しいと思うんだ。
真咲の隣のヤツはオマエを好きでしょうがないから諦めろよ、とね…。
「…理解出来ないから“恋愛マスター”なのかな?」
「だろうね…」
確かに彼女と同様に、真咲と違って小林さんの行動は大胆だとよく感じるけど。
そう言えば、あれから日野と小林さんに進展はあったのかと今ごろ思い出す俺。
「大和、どうしたの?」
「んー、両手に花だなって…」
「もー、また言う…!」
俺が笑って答えれば、案の定真咲の方は気恥ずかしそうに返してくれて。
「ねーねー、大和くん!“りょうてにはな”ってなぁに?」
「んー、幸せっていうことだよ」
「それなら亜実も“りょうてにはな”だね」
亜実ちゃんが納得したように言うから、俺たちは顔を見合わせて微笑んだ。
子供らしい純真さが、どれほど心の豊かさを齎してくれるか計り知れないな…。