愛 理~airi~
#十二 蜜 夜
ふと、独身時代の仕事に対してボルテージを高めるモノを思い起こせば。
この業種で自活出来るようになっていても、後継ぎを願う親父への対抗心で。
もちろん情熱もあったが、ソレがかなりのウエイトを占めていただろう…。
「え…と、亜実?
もう一度、ゆっくり言ってくれるかな…?」
「うん、あのね…」
今週もどうにか仕事を終えて、温かな料理を3人そろって食べている現在。
亜実ちゃんが大好物だという西京焼きに、目をキラキラさせながら発した言葉。
それを聞いた真咲といえば、文字通り目をパチクリさせて苦笑しているが…。
「お友だちのマリカちゃんね、お姉ちゃんになったんだって。
だからね?亜実もお姉ちゃんになりたいの!」
目の前の誘惑には勝てなかったのか、亜実ちゃんはひと口西京焼きを食べると。
若干うろたえている真咲に気づく事なく、バッサリ言い切ってしまった。