愛 理~airi~
子供らしい無邪気さから、誰もが一度は親に頼みこむであろう切なる願望。
「ねー、それでね…」
「あ、亜実…、うん、よく、分かったよ?」
彼女が言い直しを願ったのは、聞こえなかったとか意味が分からなかったワケでない。
「えー、亜実、さいごまで言ってないもん!」
「え、あ…、そうだね、うん。
真咲ちゃんが悪かったよね?ごめんね…」
亜実ちゃんの不服そうな顔つきに、墓穴を掘ったと言わんばかりの真咲が宥めた。
“一度聞いた事は忘れない”という、東大卒の才女にあるまじき事だし。
普段の真咲ならば寧ろ、“カワイイ!”とベタ褒めしてギューっと抱き締める。
…だろうが、今回ばかりは“厄介なオプション”がソレをしない理由だよな…?
「今日ね、ばぁばがおむかえにきたときにね…?
“大和くんに頼めば絶対大丈夫よ!”って言ってたの。
ねー、大和くんなら、亜実に妹つくってくれるー?」
「・・・」
まず、もう言葉もないわ…、と言いたげな真咲の表情が気になるところだ。