愛 理~airi~
#十四 願 望
思いもよらない事が起こるのが人生であり、そうでなければ楽しくない。
俺の場合は真咲と出会えた事こそ、一番の転機だったと自信を持って言える――…
「・・・はぁ」
山積した書類を前にしても、午後から始まる会議の事を考えてみようとも止まらない。
これで何度目か分からないほど、ペンをクルクル回しながら出る溜め息に失笑モノだ。
「なに珍しいじゃん?溜め息なんかついちゃって…!」
するとソレを目ざとく見つけ、暑苦しいの代名詞――日野が俺のデスクへやって来た。
「・・・」
「いや川崎、スルーされると結構悲しいぞ?」
「それは良かった」
オフィス内からも暑さを感じる気候を、さらに高めるヤツに周りも知らん顔で。
いつもならツッコミくらい返している俺も、今日はその気がサラサラ起きない。
「ハッ、ひでぇヤツ!」
チョッとだけ静かになった事に笑えば、明らかに不服そうな表情に変わるヤツ。
「ほら時間だ――早く行くぞ」
「ハイハイ」
憤慨している日野を尻目に席を立つと、まず片付けるは部内ミーティングだ。