愛 理~airi~
そして新鮮な空気を入れようと、バルコニーに面した小さな窓を開けてから。
いつも通りに洗濯のスイッチを入れて、亜実のお弁当と朝食を作っていると。
「キャ…!」
突然強風が立ち込めて、ガシャン…!と大きな音とともに何かが落ちたらしい。
音にビックリして声を上げたものの、慌てて音のした方へと駆け寄ってみれば。
「あーあ…、そんなぁ…」
その大きな音の正体は、結婚式の際に撮って貰った私たちが映った写真立てだった。
「やだ…、もうダメね…」
以前インテリアショップで見つけ、一目惚れでゲットした大切な宝物だというのに。
陶器で出来たソレはフローリングへ粉々に砕け落ちていて、もう修復不可能みたい。
亜実が起きてケガをすれば大変と、慌ててホウキと掃除機を使って掃除をする。
割れてしまった陶器の残骸が擦れる音に、ハァ…とショックを受けながらも。
ウェディングドレスとタキシードに身を包んだ、数ヶ月前の写真を中から取り出した。