愛 理~airi~


大和…お願いだから、貴方だけは絶対に無事でいて欲しい――…



頭を抱えてただ泣き叫んでいると、不意にペタペタと小さな足音が近づいて来た。



「真咲ちゃん、どぉしたの?」


その幼い声で顔を上げれば、パジャマ姿でしゃがみ込んでいる亜実の姿を捉えて。



「…ふっ、うう、あ、みぃ…」


「真咲ちゃん?」


泣き顔を見せた事は母のお葬式以来なほど、彼女の前では泣かなかったというのに。



無垢な顔で心配されてしまって、弱りきった私はギュッと彼女を抱きしめてしまう。



「ど、ぉしよ…ぅ」


「真咲ちゃんが悲しいと、亜実も悲しいよ…?」


「ふ…、ご、め…ねっ」


小さすぎる妹の言葉にも強気になれず、そのまますがるようにして泣き続けていた…。




するとどれくらい経ったのだろう…、マンションのインターフォンが鳴り響いた瞬間。



大きくバン!とドアを開け放つ音のあとで、バタバタ中へ入って来る足音が聞こえた。




「真咲ちゃん、大和が刺されたって…!」


「お、義母さ…」


抱き合ってすすり泣いていた中でのお義母さんの姿にも、涙腺は止まる気配がない。



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