愛 理~airi~
お義母さんに促されてカップを持ってはいたものの、結局は手をつけられなかった。
“鉄の女”と職場で言われるクセに、この状況だと何をして良いのか分からない――
するとインターフォンが鳴り響き、お義母さんがハッとしてロックを解除してくれて。
「ちょっと待ってて!」
そのまま玄関へ向かった彼女とともに、暫くしてやって来たのはお義父さんだった。
「亜実ちゃん、真咲さん」
「じぃじ」
「うん、亜実ちゃん大きくなったな…」
「お、義父さ…」
多忙のせいで中々会えずにいたお義父さんとの再会が、こんな形だなんて悔しい…。
表情の暗い亜実を抱き上げると、私の方へ視線を移しニッコリ微笑んでくれる。
「大丈夫。大和は絶対に大丈夫――」
「…は、い…っ」
「可愛い子2人がいるんだ――今のアイツは強い…」
宥めるような優しいトーンの口調が大和に重なって、コクリと頷いてまた涙が溢れた。
何にも代えがたい絶対的な安堵感を与えてくれて、どれほど場が和んだだろう――…