愛 理~airi~
同時にGELから連絡が入りすべての準備を整えて、私たちはマンションを出ると。
ずっと駐車場で待機していた、お義父さんの跡を継いだ方の車で空港を目指す事に。
地盤を守ってくれる篠崎(シノザキ)さんという方は、とても若くて驚いたけれど。
静まり返った車内で、突然にうるさく鳴り響いた携帯電話を取り出した――…
「…はい?…え!?や、大和の手術成功ですか!?
良か、った…あ、ありがとう…ございます…っ」
「まだ麻酔が切れてないけど、もう安心だって!」
その道中で泉を介して連絡をくれた日野さんから、大和が無事という知らせが届いた。
日本人スタッフさんの“知り合いから掛けた方が安心するだろう”という配慮らしく。
その日本人スタッフさんが見守る中、無事手術を終えた大和は眠っているようだ…。
「う…っ、ひ、日野さん…、ありがと、ぅ」
「俺も心配だし…色々片付けて行くから。真咲さん、じゃあ向こうで!」
手短に切れた通話からすると、どうやら社内では相当な騒ぎになっていると思われる。
「良かった…」
シンとした車内でお義母さんが吐き出した言葉は、私たち全員の願いと心境そのもの。
ただ…大丈夫と言われても、彼の顔を見られるまでは気が抜ける訳もなくて。
会いたくて、何よりも大切な彼の元へ行きたくて、大和の容体が心配で堪らないから。
お願い赤ちゃん――…長旅で辛いかもしれないけど、タフなママと頑張って欲しい…。
【#十九 忍 耐★終】