アヤカ先輩とひとつ屋根の下
「こぉら郁斗ぉー!」
『…ん?…へ?先輩?…はっ?…ぅわっ!出たぁー!』
俺は思わずベッドから飛び起きた。
夢か……。
アヤカ先輩の唇が降ってくるはずが、降ってきたのは怒鳴り声とナマハゲ……基、ヘアバンドで長い髪を上げ、顔にシートマスクを張った母さんの顔のドアップだった。
『かかか、母さん』
「郁斗ぉ……お母様に向かって"出た"とは何事かぁ!」
訂正。
ナマハゲじゃなくて、般若。
『シートマスク貼ったまま起こすからだろ』
「はぁ?せっかぁく起こしてあげたのに、そんなこと言うの?」
『しょうがないだろ』
低血圧で……なんて言わないけど、起き抜けで覚醒しきれてなかったんだって。