アヤカ先輩とひとつ屋根の下

『いいんじゃない?秀治さん優しいし、いい人だと思う。それに……』

「それに?何よ?」

秀治さんとは、俺も何回か一緒に食事をしたことがあるけれど、本当にいい人だと思う。


『それに、再婚したら母さんもちょっとは優しくなるかなぁー、なんて』

「どういう意味よ、それ」

『さあね』


煮物に少し箸をつけ、味噌汁を飲み干すと、

『でもまぁ、おめでとう』

俺の素直な気持ちを伝えた。


「…もうっ、バカ」

母さんは口では悪態を吐きながらも、頬がほんのり紅潮し、口元は緩んだ。

「ありがと、ご飯もういいの?」

『そろそろ行かねぇと、朝練遅れるからさ。ごちそうさま』


「あ、待って郁斗。これ」

忘れてるわよ、と母さんが渡してきたコップに注がれた緑の液体、青汁。


『げ……』
< 7 / 13 >

この作品をシェア

pagetop