バカみたいに大好きで
そう、いつかは
1.
畳の匂いが、微かに鼻をかすめる。
扇風機の音とガタガタとうるさいのはきっと洗濯機。
まるで、昔に戻ったような感覚に陥っていた。
自分が今どうしているかなんて気にもならないくらい。
「ふぁ……」
小さく欠伸をして目を擦ってみる。
と、ぼやける視界に自分より大きな影。
「起きた?」
―幼なじみの、春平だ。
私の顔を覗き込むようにして問いかけるその姿は、小さなときとほとんど変わりない。
「なぁんだ、春平か」
ごろりと寝返りをうって、呟く私を、春平は「畳のアトついてるよ」と笑った。
これが当たり前で、日常で。
たまに、つまらないと思うことだったりする。