【企画・短編】瞬きさえも


「あ、ごめん。…なんか
はぐれそうな気がしたから」

「ごごご、ごめんなさい。
びっくりして」

「……」

「……」

立ち止まった2人に、
構うことなく押し寄せる
人の波が邪魔そうに避けていく。

避け切れずぶつかる体同士に
樋野は「行こうか」と
歩き出した。


薄水色のストライプのシャツを
着た背中が人混みに紛れていく。


嫌になる。


瑠璃は思わず溜め息を吐いた。





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