【企画・短編】瞬きさえも



「ちょっと…何考えてるの」

「…お嬢様が考えてるコト」

「…冗談でしょ?」

「何考えてたんだ?」

クスクス笑う玲の吐息が
顔にかかる。

至近距離の顔に
気を取られている間に、
玲の指が帯紐を引っ張った。

飾りだけの紐は簡単に
地面に落されてしまう。

「あ、ちょっと!!」

帯に手がかかった時、
ドーン、と
体の奥が震えるような
大きな音が辺りに響いた。




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