【企画・短編】瞬きさえも
頭上で光の輪が弾ける。
葉の隙間から、
色とりどりの光が
滑らかなラインを描いて
流れていくのが見えた。
音が鳴って、光が降る。
その度に辺りが照らされ、
自分が河川敷の傍の
山にいるのだと気付いた。
「初めてみたわ、花火」
「さすが、お嬢様だな」
言いながら玲の指が
うなじを撫でた。
「おろしてる方が好きだけど、
たまにはアップもいいな」
「すぐにキスできる」と
首筋にそっと玲の唇が触れた。