【企画・短編】瞬きさえも



「…ん……っ」

濡れた自分の唇を舐めながら
玲が不敵な笑みを浮かべた。

「焦らすなよ、棗」

どっちが!と、言いかけて
その言葉は声にならずに
玲の唇に吸収される。



ずるい男、
こんな時だけ
名前で呼ぶなんて。



体の奥を震わせる音を
聞きながら
棗はゆっくり目を伏せた。





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