【企画・短編】瞬きさえも
哀しみ、諦めと微かに
希望の入り混じった色。
見るまでもないけど、
想像通りの色で相変わらず
この子の頭の中は透けてる、
そんなことを思った。
そしてそんなこの子に
弱い自分を最近ちょっと
自覚している。
人の感情が色で見える能力を
持っている棗は、
色が渦巻く世界を、
人との関わりをずっと
避けてきた。
今でも避けていることに
変わりはないが、
それでも瑠璃や樋野と
過ごすことには慣れてきた。
そして―――
ヴァンパイアの玲といることも。