【企画・短編】瞬きさえも


「わかったわよ、
行けばいいんでしょ?!」

溜め息交じりに言ったのに、
満面の笑みで瑠璃が
抱きついてきた。

「意外。お嬢様が行くって
言うと思わなかったなぁ。
あ、じゃぁ浴衣着てくれば?」

玲の言葉にさらに顔を
しかめながらも、「見たいな」と
言われればなぜだか逆らえない。


棗が盛大な溜息を漏らす中で、
樋野は興味なさそうに
書類をめくっていた。




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