【企画・短編】瞬きさえも


「…向こう側に
行ける気がしない」

「だろうなぁ」

楽しげに笑う玲を
睨むように見上げると、
彼は後ろを振り返った。

「てわけで、こっから別行動ね」

「え!?」

目を丸くした棗と瑠璃を
笑顔でやり過ごし、
人の波をすり抜けるようにして
玲は棗の手を引いていく。

「ちょ、ちょっと」

慣れない下駄の音を
響かせながら
遠ざかっていく2人を
瑠璃は呆然と見送っていた。




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