青春

葛藤

ふと空を見上げたら
真っ直ぐ伸びたヒコウキ雲ふたつ
少し遅れて進むひとつが
兄(きみ)の後姿を追う自分のようで
いつか追い越せるだろうかと
思わず微笑った(わらった)


きみと僕は違う人間
僕には僕の得意がある
何を言い聞かせたって
心のどこかで比べてたんだ


「このままずっと平行線で生きていく」
ふてくされた時もあった
でも進んだずっと先の方で
ふたつはちゃんと交わってた
本当は誰よりも尊敬してたこと
やっと認めることができた


ふたつばかり見つめていた瞳を
ふと全体に向けてみたら
綺麗に輝く夕陽の光が
いろんな雲を照らしてた
それらはどれもとても綺麗で
気づくと二本の真っ直ぐな線も
いつのまにか空に溶けてた


他の雲を突き抜け進む
あのヒコウキ雲もいいけれど
その周りを優しく包み
漂う雲でもいいのだと
虹色空が教えてくれた


毎日同じ空などない
毎日同じ雲などない
僕もずっと進み続ける
そしていつの日か
唯一無二のこの雲(じぶん)で
美しく空を描くんだ
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