短編-ワガママな恋。〜始まりのあの日〜
「冗談だろ。」
「え、」
今、なんて?
「昨日会ったばっかりの奴に、付き合ってくれなんて、正直困るし。」
「な、なんで?あたしのどこが悪いの?」
し、信じられない。
今まで告白した人はみんな、あたしの物になったのに。
困るって…なんなのよ!
「お前の気持ち、当ててやろうか?」
「は?」
「自分に落とせない男はいない。自分は特別。そう思ってるだろ?」
「な、…何よそれ!」
「だから俺の事も落としにきた、違うか?」
「な、何で…。」
何も、言い返せない。
だって幸正の言うことは
一つだって間違ってないから。
「図星か?だろうな。それが目的なら、早く出てってもらわないと。部活の邪魔。」
何なの、こいつ。
あたしは何も言わずに、生物室を飛び出した。
こんな奴に一瞬でもときめいた、あたしが馬鹿だった。