短編-ワガママな恋。〜始まりのあの日〜
自分はそんなに濡れてるのに、何でそんな金魚に、そこまでするの?
「俺はいーんだよ、別に。でも金魚は陸にあがったら、自力で何も出来ないだろ。ただピチピチ跳ねて、やがて死ぬ。」
「あたし苦手だよ、生命がどーのこーのって話。」
「あー、お前、単細胞だったもんな。」
またニコニコ笑う幸正。
「だから、単細胞なんかじゃないってばー!」
────…。
あれ?
変なの。
あたし、こんなに笑ったりする人だっけ?
異性と話すなんて、こんなに楽しかった?
そうだ、あたし。
本当なんだ。
これが本気の恋なんだ。
あたし…
──幸正が好きなんだ。