短編-ワガママな恋。〜始まりのあの日〜
ファミレスの帰り道。
いつもと変わらない道なのに、幸正と居ると全てが新鮮だった。
凄いよ、恋のパワーって。
斜め前を幸正が歩き、その後ろをあたしがチマチマ追いかける。
ただそれだけが、大きな幸せ。
ヤバいよ!あたし、青春してる!
「単細胞ってさ…。」
斜め前を歩いていた幸正が、ふいに口を開いた。
「ん?」
「初めて会った時の、あの告白ってマジだったの?」
な、
「何をいきなり!」
あたしは幸正から、何歩か後ずさりをした。
あたしとしたことが、かなり動揺してるみたい。
「いや、気になったから。マジだったの?」
あたしはまた、何歩か後ずさりをした。
「その時はマジだった…かな?でも両思いになりたいってマジじゃなくて、ただ単に彼氏にしてやりたかったマジ。…分かる?」
「分かんない。」
表情を一切変えないまま、幸正は答えた。