短編-ワガママな恋。〜始まりのあの日〜
「君はー…生物部なのか?」
「へ?」
予想外だった質問と、返答に困ったあたしから出た言葉。
「どうやら最近、君が生物室を出入りしているのを見た先生がたくさんいてね。君が生物部なら構わないんだが…成績が悪い者は部活は無理なはずだな?…たしか水沢、お前はー。」
「はい、悪いです。」
先生の替わりに、あたしはきっぱり答えた。
「ならば、生物室の出入りは禁止だ。野々村にも伝えといたら納得していたからな。」
「そ、そんな。」
「そんなに生物部になりたいなら、勉強でもしなさい。」
昨日のことは何も聞かれなかったから良かったけど。
生物部の出入りが禁止されたら、幸正との接点だって…全部無くなっちゃうんだ。
もう、幸正に会えないじゃん。