短編-ワガママな恋。〜始まりのあの日〜
今日からまた、独りで生物室にいる日々だった。
何だか心にぽっかりと穴が開いたようだった。
初めは、いつも後ろで吠えるように話していた水沢が、うざくてうざくて…。
でも水沢が来なくなった今、俺は水沢のあのうるささを求めている。
あれが心地よかったんだ。
独りじゃないってことが感じられて、幸せだった。
果たして俺は、水沢を好きなんだろうか。
そして水沢は、俺のことがまだ好きなんだろうか。
『嫌いになるなよ。』
って呟いたとき、自分でもびっくりした。
こんな事、言っちゃうなんて…。
まだ俺が、水沢の事が好きなのかは分からない。
でも、水沢に俺の事を嫌いになってほしくない。
ワガママな、願望だよな。