短編-ワガママな恋。〜始まりのあの日〜
俺は闇雲に走った。
何て伝えれば良いのか、よくは分からない。
でも会いたいんだ、水沢に。
あれ?
走りながら、俺は向こうから同じように走ってくる人影を見つけた。
まさか、水沢じゃないよね?
いや、水沢だ。
茶色で若干金に光るロングの髪の毛。
ギリギリまで短くしたスカート。
ベージュ色のカーディガン。
ルーズソックス。
丸くて大きな目。
チークを塗った頬。
グロスで光る唇。
そんな水沢の姿を見て、走りながら俺は笑ってしまった。
こんな奴、ちっとも俺の好みじゃないな。
髪が明るいなんて嫌いだし。
ルーズソックスなんてもっと嫌いだし。
スカートは異常短いし。
アホみたいにチークは塗ってるし。
顔も馬鹿な面してポケポケしてるし。
そんなお前が大好きなんだよ、俺は。