短編-ワガママな恋。〜始まりのあの日〜
「お邪魔しまーす。」
放課後、水の音が微かに漏れる生物室に、あたしは向かった。
生物室に入ると、机の上に沢山の水槽。
そして窓側に…居た!
愛しの幸正☆
こちらに気づいたのか、幸正が顔をあげ、あたしを見た。
「あんた…、」
「水沢マコ、二年生です。…覚えてます?」
「あー、アリのね。」
アリのって…
幸正はそれだけ言うと、また水槽に目を向けた。
あたしより水槽かよ。
こんな美女が目の前にいるってのに。
「で?何しにきたの?」
幸正は水槽から目を離さないまま、あたしにそう問いかけた。
「あ、伝えたい事があって。」
「え、何?」
「あの…。」
あたしは後ろに手を回し、ゆっくり歩きながら近づいていった。
そして、まだ水槽を見つめる幸正の後ろまで来ると、こう言った。
「あたしと付き合ってください。」
ふ、言ったわ。
これでもう幸正はあたしの!
すると、自信満々なあたしに、思いもかけない言葉が帰ってきた。