隣の席の君は…
アタシの席…
朝起きたら面白いくらい目が腫れていた。
時間ギリギリまで濡らしたタオルで目を冷やしたけど、泣きはらした目は治らなかった。
重い足取りで家を出た。
ノロノロ歩くアタシをたくさんの女の子が抜かしていった。
みんなニコニコと楽しそうだ。
惨めだなあ…
「美~羽チャン♪
おはよう!」
明るい声がアタシを呼ぶ。
「あぁ…陵サン
おはようございます。」
ムリに笑顔を作ってみた。
鏡を見なくても自分が酷い顔をしてるのが分かる。
ちっとも笑えてない…
無理矢理つくった笑顔のせいで口端が震えている。
「今日も可愛いね♪
じゃあ、また今度ゆっくりね…」
こんな顔がカワイイ訳ないのに…
陵サンはやっぱり優しい。
眩しいくらいの笑顔で手を振り校舎の中に消えていった。
ぼんやり陵サンの姿を見送った後…
「おはよう美羽!
…昨日はどうしたの?
酷い…顔だょ??」
香帆が悲しそうな顔で話しかけてきた。
「さっきの…中原先輩だよね?
美羽…いつの間に仲良くなったの??
美羽は恭平が好きなんじゃないの!?」
そのうち捲し立てるような口調に変わった香帆。
「香…帆?」
そんな香帆に驚きながら口を挟む。
「え?あっ…
ごめん美羽っ
私ったらつい…」
ハッとした顔になり俯いてしまった。
「ねぇ
もしかして香帆は…」
必死な表情だった香帆を思い出し、ある考えが浮かんだんだ…
「ちっ違
私は…」
ほんのり頬が桃色になった香帆は可愛い。
「イイじゃん
教えてよ!!
アタシも話したいことあるし、屋上行こ~よ!」
アタシは香帆の手を引いて屋上に向かった。