隣の席の君は…
…放課後
私は香帆と帰るコトにした。
恭平のコト相談したかったから。
真新しい上履きを靴箱に入れる。
これまた新しいローファーを履き、玄関を出た。
ザァー
大粒の雨がこれでもかと降っている。
香帆は既に、折りたたみ傘を手にしている。
私も鞄の中をあさってみた。
今朝、母に言われたため確実にある。
ゴソゴソ
「あれ!?
おかしいなぁ、無いよぉ!!」
再び探すがどこにもない…
そしてフト思い出す。
あっ
教室で出して…
机に置きっぱなしだ!!
この雨じゃ、一人一人傘があった方がイイ。
「香帆ごめん!
ちょっと待ってて?忘れ物…」
香帆はクスリと笑うと、
「イイよ!!
美羽が忘れ物して、待たされるのは慣れてるし(笑)」
そう言って舌を出すと手を振った。
「速くねぇ!!」
私は香帆の笑顔を背に走り出した。
そうだ!!
教室には恭平も居るハズ…
少し話せないかな?
ウキウキした気持ちで走り続ける。
教室の前に立つと声がした。
「マジで!?
恭平うけるわ~」
恭平…!?
やったぁ♪
恭平いるんだ!!
更にテンションが上がり、イイ気分で戸に手をかけた。
その時ーー
「お前が告ったら冗談に聞こえねぇよ!!可哀想に中川サン…」
耳を疑った…
冗談?え…なにが??
告白が?
いっきに体が冷たくなる。
いつの間にか雫が鵬を濡らした。
よりいっそう激しくなった雨音が、耳に響く。
少しずつ冷静になった私は、慌てて涙を拭おうとした。
ガタンッ
勢い良く目元まで持っていった手が、戸にぶつかってしまった。
しまった!!
私は慌てて戸に背を向け俯く。
ガラッ
「誰?」
皮肉にも聞こえたのは…
恭平の声だった。