隣の席の君は…


私の姿を見つけると恭平は、いつもと変わらず話しかけた。

「え!?
美羽じゃん!!忘れ物?」


バカにしたように言った。


軽く頷く私。


恭平は私の異変に気が付いたのか、声のトーンを変える。


「何かあった?
…泣いてる?」


私は恭平に顔が見えないように更に俯く。


「なぁ美羽!?言えよ!!」


グィッ


恭平は、両手で優しく鵬を包み上を向かせた。

本当に私が泣いているとは思わなかったのか、驚いた顔をしていた。


しかし
次第に険しい顔になり口を開く。


「誰に泣かされた!?」


私の鵬に、一筋しか出来ていなかった涙の線が一揆に増える。

目が涙で埋め尽くされ視界が滲む。


泣き顔を見られた恥ずかしさと、
ただの勘違いで浮かれていた恥ずかしさで…

私は恭平の手を振り払い走り出した。


「美羽っ!?待てよ!!」


恭平の声だけが私を追いかけてきた。


走る…
走る走る……


そして、誰も居ない2年教室に逃げ込んだ。


床に崩れ落ちると、溢れだす涙を止めることは出来なかった。

しばらく泣くと香帆のコトを思い出す。
そして、
携帯を開くと沢山の着信とメールが入っていた。


まだ震える手で携帯のキーを押し、先に帰って貰うようにメールした。


香帆の心配する顔を思い出すとまた涙が出る。



窓から
さっきまでの雨が嘘のような綺麗な青空が見えた…
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