運命以上。 ~野生児女とフェロモン男~
髪の長い女が、逆さに落ちて行った
…俺の顔を見ながら―――…
「…お、……おい」
誰に言うでもなく、のどの奥から声が漏れた…
嘘だろ…
今のって……
「…こ、こらこらこら!」
意味が理解できず・・・そんな言葉を思わず口走ってしまう
頭が回転し出すまえに、気づいたら勝手に体が動いていて・・・
ベランダの窓を、放心状態で開けていた。
「あれー?いつきくんどうしたのー?」
偶然、トイレから出てきていた達次郎も、なんだか様子が変だと気づき、何事かと近づいて来る…
「……人が、落ちて…」
俺はそう言いながら、ベランダの手すりに手をかけ、ひきつった表情で達次郎を振り返った
頭の中では、さっき落ちて行った女の視線が離れていかない…
生きていた・・・
目が、動いていた・・・
何回も、何回もフィードバックされていく…。
なんだよ…
こんなことって…
「う、嘘ぉー!人が落ちたの??冗談だろ?!」
半信半疑の様子で、ベランダに出てきた達次郎
ここは3階。ここからでも相当な高さだ…
少なくとも、さっきの女は、3階以上から落ちたから、…命の保証はない
なんだよ;
勘弁してくれよ…
こんなの、、、
恐る恐るベランダから下をのぞくと…
真下の地面に・・・
うつぶせの状態の人間が倒れていた・・・・・・
それはまるで人形のように
無機質で、命のないような・・・
重量だけが残されたような・・・