愛しのエリー【ホラー短編】
思わず、香奈枝の言葉をさえぎって、聞き返した。
「うん。どこの階段かはわからないけど、
頭の打ちどころが悪くてね、そのままあの世行きだったらしいよ」
「そ、そうなんだ…」
紗希は返事をしながらも、全身の血の気が引く心地だった。
ま、まさか…、
その階段ってあそこなんじゃ…。
紗希は幽霊を見たことがなく、霊感はないと思っている。
ただ、人より勘が鋭いのか、感じることはある。
見えなくても、ゾクッとしたり、そこにいたくないと思ったり、
そういうことは多々あった。