愛しのエリー【ホラー短編】
今回のように、そこにまつわる幽霊話を知らなくても、そこに何かを感じてしまうのだ。
「でもね、不思議なことに亡くなった時、人形をもってなかったの」
紗希はじっと香奈枝を見ていた。
金縛りにあったみたいに、視線をそらせない。
「人形は探したけど、どこからも見つからなかったんだって」
「そ、それで…幽霊になっても、探してるわけね…」
「うん。で、その人形がエリーって名前で、
『エリー、どこ? あたしの愛しいエリー?』って言いながら探してるから、
通称、愛しのエリーって呼ばれてるわけ」
「ね、ねえ…」