愛しのエリー【ホラー短編】
靴音ではない。
この音の持ち主は靴を履いてないのだろうか。
仕事を始めたばかりの頃、先輩から聞いてはいた。
夜になると、幽霊が出ると。
その日は先輩と一緒に見回り、
幽霊の姿はおろか、足音すら聞かなかったので、やっぱり単なる噂じゃないかと笑ったものだ。
しかし、その翌日に一人で見回ると聞こえてきた音。
足音なわけはない。
何か別の音だ。
もしくは、幽霊が出ると思い込んでいるから、幻聴が聞こえるんだ。
そう自分に言い聞かせて、仕事をしてきた。