愛しのエリー【ホラー短編】
4人は1階の廊下を歩いた。
「こんなに出そうな雰囲気なのに、出ないね」
香奈枝は辺りを見回しながら、言った。
…たしかに。
真っ暗で幽霊が出そうなのに、
今のところそれらしいことは何もなかった。
とはいえ、紗希にとっては暗くて不気味なだけで十分に怖く…、
びくびくしながら、歩いていた。
4人が昇降口にさしかかった時、
「コラッ!!」という大きな声が聞こえて、
紗希は「ひゃっ」と飛び上がらんばかりに驚いた。
とっさに、航平の腕にしがみついて、目をつぶる。
「あんた達、夜の学校に忍び込んだらダメって言ったでしょ!?」