愛しのエリー【ホラー短編】
自然と航平から離れて、水木先生を見る。
眉をつり上げて、怒った顔の先生。
「なんだじゃないでしょ。あんた達、帰りなさい」
「え~、せっかくここまで来たんだから、学校の中、探検させてよ~」
香奈枝が下がり調子の声で言った。
「ね、お願い先生!」
悠二が昼間と同じように手をパンッとあわせて、お願いした。
「ダメったら、ダメ!」
先生の強い言葉に、紗希は内心ホッとした。
これで帰れるかもしれない。
しかし、その考えは甘かった。
「でも、あたし達、例の『愛しのエリー』なんていないって確認しないと、
昼間も怖くて学校に来れないんです」
香奈枝はしおらしく言った。