愛しのエリー【ホラー短編】
「で、でも…」
「帰りなさい」
諦めずに食い下がろうとする香奈枝に、水木先生は言い放つ。
「幽霊なんて、いるわけないんだから…」
その言葉は、まるで自分に言い聞かせてるようで、紗希は首をかしげた。
「先生…?」
航平はため息をつくと、しゃーないなぁとつぶやいた。
「先生、俺らはいないならいないで、確認したいんです。
1階から4階まで、グルッと1周するだけですから。
なんなら、先生も一緒に着いてきてください」
「でも、もし何かあったら…」
渋る先生に、香奈枝は明るい声を出して、先生の腕を引いた。
「ただ歩くだけですから、何もありませんって」