愛しのエリー【ホラー短編】
相変わらず、繋がれたままの手。
ささやくために、肩がぶつかりそうまほど側にいる彼。
ヤ、ヤバい…。
心臓がバクンバクン鳴ってるよ。
ここまで航平に近づいたことは、初めてだった。
「あ、雨やんでるな」
「え?」
航平が立ち止まって、窓を開けた。
その途端、少しひんやりした風が体を包んだ。
紗希はその窓から、航平と繋いでいない方の手を外に出した。
雨は当たらなかった。
「ホントだね。明日、涼しくなればいいんだけど…」