愛しのエリー【ホラー短編】
ニ
音がどこから鳴っているのか、わからない。
紗希はただ、航平の顔を見て、安心したかった。
その一心で、斜め後ろにいる航平を見上げるように、ふり返った。
『…ね、ぇ』
「ヒィッ」
紗希は息を飲んだ。
さっきまで二人がいた踊り場に、長い黒髪のセーラー服姿の女の子が立っていた。
『…エリー、知らな…イ?』
表情は見えないのに、その女子がニタッと笑った気がした。
航平もふり返り、二人は呆然と固まっていた。
『え、リー…?』