愛しのエリー【ホラー短編】
見ると、航平が紗希の手を引っぱっている。
「行くぞ!」
「う、うん」
紗希はようやく出るようになった声で返事をした。
1階まで駆け下り、来た道を逆にたどる。
その先に、香奈枝や悠二、水木先生の後ろ姿が見えた。
ちょうどその時、香奈枝がこちらを向いた。
その顔を見てすぐに、紗希は声を張りあげていた。
「香奈枝…!!」
紗希と航平は皆の前に来て、ようやく足を止めた。
肩で息をして、呼吸がおさまるのを待つ。
「ちょっと、驚かさないでよ~」
香奈枝の明るい声に、紗希は泣きそうになるのを必死にこらえて、聞き返した。