愛しのエリー【ホラー短編】
入ってきた美術室も、昇降口も、職員用玄関も、すべて、あの幽霊の向こうにあ
った。
どこに逃げたらいいのか――
「そんなの、ここからに決まってる!!」
「おおっ」
航平と悠二は窓に走り寄って、開けようとした。
そうか。
入った時とは違うんだ。
美術室にこだわらなくても、どこの窓からだって出れる。
紗希は安堵から体の力がゆるんだ。
しかし、そう上手くはいかなかった。
「おいっ!?」
「くそっ、開かねぇ!!」
悠二と航平が口ぐちに言った。